日本と隣国との経済・エネルギー特集

第二弾 韓国編

 今年8月に行われていたロンドン五輪の最中、韓国との領土問題に火が付いた。8月10日韓国の李明博大統領が竹島に、歴代大統領として初めて上陸した。その翌週の14日、韓国忠清北道で開催された勉強会で、同大統領は「(天皇は)韓国を訪問するのであれば、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るのがよい」という趣旨の発言をした。この発言で日韓両国の関係は一気に悪化。日本人の心を逆なでしたことで、穏便な対応をしてきた日本政府の安住財務大臣(当時)からも「通貨スワップ拡充打ち切り」など具体的な対応策が示され、強気な姿勢に転じたのが伺える。さらに民間経済活動についても、日韓双方の観光客減少、国内での韓流ドラマ放映に疑問視する声など、様々な活動に悪影響が出ている。


 竹島問題は日韓の国民の認識が異なり、抜本的な解決にはかなり高いハードルがある。領土を守ることは極めて重要な問題だが、ナショナリズムと直結しており、互いの主張が相いれないケースや、各国の国民世論が過熱し、外交上最悪の事態に陥り、経済やエネルギー問題に発展する可能性も否定できない。そこで「石油ネット」は当サイトを代表する執筆者である伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの伊藤敏憲氏に今回の特集の第二弾として、日本と韓国との「エネルギー・経済」の関係性をわかりやすく分析し説明していただくことにした。


日本と韓国の関係

日本にとって韓国は世界で三番目の輸出相手国

日本と韓国の経済関係は、韓国経済の成長に伴って拡大しました。2011年の両国間の貿易額は、日本からの輸出が5.3兆円(日本の輸出総額の8.0%)、輸入が3.2兆円(同輸入総額の4.7%)で、輸出入ともに、中国、アメリカに次ぐ3番目の規模となっています。日本からの主な輸出品は、電子部品、石油化学製品、鉄鋼製品などで、韓国の輸出産業を日本が支える構造になっています。一方、韓国からの輸入品でもっとも大きなウェイトを占めているのは石油製品で、携帯電話や半導体などの電気・通信製品がこれに続いています。


石油業界では、JX、コスモ石油などが韓国企業と合弁事業を展開

日本と韓国の石油関連分野での関係は強く、JX日鉱日石エネルギーとコスモ石油が韓国の大手石油会社とそれぞれ業務提携を結んでいるほか、輸入元売の中川物産やJA全農、商社なども韓国から石油製品を輸入しています。11年には韓国から914万klの石油製品が輸入されましたが、これは石油製品全体の輸入量の25%を占め、特に、ガソリン、灯油、軽油、A重油はその大半が韓国から輸入されています。

JX日鉱日石エネルギーは韓国最大の石油会社SKグループと業務提携を結んでいます。現在、SKイノベーション子会社のSKグローバルケミカルと折半出資の合弁会社「ウルサン・アロマティックス」を設立し、韓国ウルサン広域市のSKエナジー社ウルサンコンプレックス内で、世界最大となる年間100万トンの生産能力を有するパラキシレン製造設備の建設を進めています。投資額は約1兆ウォン(約800億円)の見込みで、新設備は2014年2月に商業運転を開始する予定です。JXが、日本国内の製油所からパラキシレン原料を供給する計画です。また、JXは、SKイノベーションの子会社SKルブリカンツと合弁で同コンプレックス内に製造能力は年135万キロリットルの潤滑油ベースオイル製造設備の建設を進めています。投資額は約3100億ウォン(約220億円)の見込みで、JXが基礎原料を供給して、ベースオイルを引き取り、自動車メーカーなどに潤滑油を販売する計画です。

コスモ石油は、2008年4月に、同社の大株主のIPICの子会社だった現代オイルバンク(HDO、現在はIPICとの資本関係は解消)と「石油事業包括協力覚書」を締結し、業務提携を開始しました。まず、2009年11月に、合弁会社 HC Petrochem(HCP)を設立。HCPは、ヒュンダイオイルバンクからパラキシレン装置〈年間38万トン〉を譲り受け、さらに生産能力年間80万トンのパラキシレン製造装置を建設し、2013年から最大で年間118万トンの生産および販売を行う計画です。また、両社は2011年10月に技術/研究分野においても覚書締結を締結し、触媒の融通や研究員の派遣などの話し合いを進めていますが、今後、@技術情報、分析結果の交換、A研究開発や装置運転効率性の向上、エネルギー関連事業の共同研究、B提携強化及び専門技術習得を目的とした定期的な人材交流などに提携範囲を拡大する予定です。

中川物産は、提携関係にあるS-Oilから石油製品を輸入しています。さらに2011年にLGグループから2003年に分離設立されたLSグループと合弁で「オンサンタンクターミナル社」を設立(中川物産グループの出資比率40%)し、S-Oilオンサン製油所の隣接地に2基のタンク(貯油能力合計30万kl)を建設し、S-Oilからパイプラインで製品を調達しています。 


エネルギー構成比は平時の日本と近似、その大半を輸入に依存

2011年の韓国の一次エネルギー供給量の構成比は、BP Statistical Review of World Energy 2012によると、石油40.3%、天然ガス15.9%、石炭30.2%、原子力12.9%、水力0.4%、再生可能エネルギー(風力、太陽光など)0.2%で、水力と再生可能エネルギーの構成比が低い以外は平時の日本と近似しており、やはり日本と同様にその大半を輸入に依存しています。



※この特集は昭和シェル石油株式会社、東燃ゼネラル石油株式会社様のご協力により、掲載させていただいております。ありがとうございます。  石油ネット


   



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