コスモ石油の筆頭株主にアブダブ政府投資機関 
その影響は 予想される今後の展開

  コスモ石油は先週18日に開いた取締役会で、アラブ首長国連邦のアブダビ首長国政府100%出資の国際石油投資会社(IPIC)との包括的、戦略的業務提携と第三者割当増資を行うことを決めた。同日現地で岡部敬一郎会長とIPICカデム・アル・クバイシ社長らとの間で契約を締結した。これによりIPICが設立した特別目的会社のインフィニティ・アライアンス社(本社英領バージン諸島)が同社の株式の約20%を保有する筆頭株主になる。IPICから非常勤役員二人も受け入れることになる。コスモ石油とアブダビは首長国成立以前の約四十年前から原油、石油製品取引や原油開発で緊密な関係にあるが、今春に入ってその関係を強化し、ビジネスチャンスを拡大するための戦略的業務提携について具体的な交渉に入り、このほど合意に達した。コスモ石油では10月5日付でインフィニティ・アライアンス社に1億7千6百万株(増資後の発行株式総数および潜在株式数の合計の約20%)の第三者割当増資を行い、891億8千万円の資金調達を行い、主に石油化学事業を含む製油所の高度化や石油開発事業を行う予定だ。

 以上が今回のコスモ石油とアブダビとの提携にともなうプレスリリースだが、日本の石油元売への中東産油国からの出資は、昭和シェル石油に一昨年にサウジ・アラムコが出資したのに次ぐケースだが、筆頭株主になるのは初めてなだけに、今後、日本国内の業界再々編成に大きな影響を与えるのは必至だ。

 これによってどういった影響がでてくるのかが興味の的だ。その前に、大きなキーポイントになっているのは2012年に期限切れになるアブダブ石油(コスモ石油の子会社)のムラバス油田の権益問題だ。その延長について「コスモ石油の岡部会長は権益延長は故・中山会長の遺言で、権益延長を行うまで会長職をやめられない」ということもあって、今回のIPICの筆頭株主劇になったのではないかとの見方もある。さらに来年度からスタートする堺製油所の新規設備投資(約1000億円)の原資にもなり、一石二鳥の効果もあるはずだ―との声も聞かれている。

 さて、その影響度合のケース1だが、国内で業務提携を結んでいる新日本石油は、今回の動きに、渋い表情をみせている。表向きには産油国との関係強化で歓迎としているものや、その裏では「これでコスモ石油を呑み込むことはできなくなった。提携会社のひとつでもある出光興産との関係も出光が株式上場したことで、その蜜月関係も怪しくなっている」といった声もあり、そして「これからはジャパンエナジーとの関係を強化するのではないか」との見方もある。さらに、石油開発についても昭和シェルがサウジアラビアと、そしてコスモ石油がアブダビ政府と関係を強化することで、新日本石油といえども単体で石油開発を展開するのには限界があるはずだ―との指摘もある。また、新日本石油はジャパンエナジーに対して、開発会社の共
同化、経営統合にむけて動くのではないかといった憶測もある。新日本石油首脳は発表会当日に我が耳を疑ったともいわれ、まさに寝耳に水―ということか。

 次にケース2だが、これによって「国内の石油会社は民族対産油国連合―という対決構図になるのではないか」とみる関係者もいる。昭和シェルはサウジアラビアのアラムコ、コスモ石油はアブダビ政府といったように産油国のオイルマネーを背景にした戦略を展開することで、民族系、とりわけ新日本石油は出光興産との関係をどう強化するのか、さらにはジャパンエナジーとの間で水島製油所を核に、共同石油精製会社構想、さらには開発会社の経営号統合を展開しなければならない局面を迎えている。

 コスモ石油が投じた一石は業界内に大きな波紋を呼ぶ事になった。「日本のエネルギーは日本の石油会社が守る」―というのが新日本石油のキャッチフレーズのひとつだが、産油国が日本の石油会社に投資することで「安定供給に資する…」という奇麗事で済まされるのかどうか。新日本石油首脳の本音を聞きたいところだ。
 

【維  新】 (1) 物事が改まって新しくなること。 (2) 明治維新の略。

【以心伝心】 (1) 禅家で、言語では表されない真理を師から弟子の心に伝えること。
                 (2) 思うことが言葉によらず、互いの心から伝わること。

【維新伝心】 (1) 北海道石油新聞社による造語で、HP連載のタイトル。
                 (2) 物事が改まって新しくなる様や世の中の真理を、心から心に伝えようとするホームページ上の試み。


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