ハードよりソフト
会社の将来は、経営者の質と経営への取り組み姿勢に加え、会社の最大の財産ともいえる優秀なスタッフ、すなわち「人財」を十分に確保し、さらに、その能力を磨きあげることができるかどうかによって左右されます。特に、SSなどのサービス業では、会社とお客様の接点でサービスによって付加価値を創造することができるスタッフの資質によって業績は左右されるといっても過言ではありません。
ガソリン、軽油、灯油などの販売量は、立地、敷地面積、設備・機器などのハードの良し悪しと価格による影響を受けやすいのですが、油外、中でもカーケア関連の収益をハードだけで稼ぎ出すことはできません。ハードだけでお客様を呼び込めるのは洗車くらいでしょう。オイル交換やメンテナンスサービス、TBASPの販売などで成果を上げているSSには必ずといっていいほど優れたマネージャーやスタッフがいます。洗車でも収益性はサービスによって大きく変わります。カーケア収益を上げるためにはサービスピットなど最小限のハードは必要ですが、多少の立地の不利を接客や作業の質などのソフトの差によってカバーできているケースはたくさんあります。
人材を確保するために
SSで人材を確保する際の問題の一つは、質が高く、かつ、長く勤務していただける好ましいスタッフがなかなか集まらなくなっていることでしょう。正社員だけでなく、パートやアルバイトを求人する際においても、SSに比べて時給が低いコンビニエンスストアやファーストフードショップなどの方がスタッフを容易に確保できているようです。この理由の一つはSSが実態以上に3K(きつい、汚い、危険)職場だと認識されているからと思われます。
求人対象を拡大することは一考の価値があると思われます。例えば、SS勤務経験があるSSの元スタッフは性別年齢を問わず即戦力になります。また、雇用機会に恵まれない中高年の方などは相対的に人件費を安く抑えることができますし、勤務意識が高い方もたくさんいらっしゃいます。仕事の内容を考えれば、SSでスタッフに年齢制限を設けることが必要とは思えません。
若年層を中心に仕事に対する意識が変化し、見た目や安易さで職場を選びたいと考えるケースが増えていることもスタッフが集まりにくくなっている理由の一つと思われます。そこで、提案があります。まず、経営者、マネージャーなどの皆様にSSをもっと楽しく働ける場にするよう意識していただきたいのです。
また、石油元売などは多額の広告宣伝費を投じてCMを流していますが、例えば、スポンサーを務めるテレビドラマや映画などで、若者に人気のある俳優や女優がSSで生き生きと楽しく働く姿を演じさせることも効果があると思われます。良いイメージを作り出すことも重要だからです。ブランドイメージを打ち出したり、文化・芸術・スポーツ・環境活動などを振興したりすることも重要と思われますが、自らの産業をよりよくするためにお金を使うことさらに重要と思われます
人材を人財に変えるために
人材を確保したら、「材」を「財」に変えるべく努力していただきたい。そのためには、能力を引き出すこと、知識・技能を高めていくことなどが必要です。
お客様に心地よく感じていただくために接客の基本をマスターしていただくことはもちろんですが、お客様に対価を支払う価値があると認めていただけるようなサービスを提供できるようにするため、教育・研修などの機会を与えることも必要でしょう。そして、資格を取得したり、技術を習得したり、目標を達成したりした際に、インセンティブを与えたりすることも有効と思われます。
それから、スタッフは、成果が上がり、それを周りに認めてもらえれば、意欲はさらに高まり、仕事により打ち込めるようになりますが、家族や友人に理解されなければ、仕事を続けることすら難しくなってしまう可能性があります。SSでは、幹部社員ほど、あるいは、成果が上がれば上がるほど労働時間が長くなる傾向が見られるからです。経営者の皆様には、優秀な人財は、社内外に良き理解者があればこそ、さらに高い能力を発揮できるようになると考えていただきたいのです。 |