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様々な原因の重なりが生んだ油価の高止まり
今年は、世界経済が低迷する中で原油価格が高止まりしましたが、需給、地政学リスク、金融など様々な原因が重なったためと考えられます。
まず、原油の需給は、タイトとは言えないまでも、前年に比べてやや引き締まりました。米国および欧州における経済状況の悪化を背景に先進国の需要は減少しましたが、新興国・発展途上国における人口増と経済・社会の高度化による需要の増加によって、世界全体の需要は増加した一方で、原油の生産能力や石油精製能力などがほとんど増強されなかったからです。ちなみに、10年前の2001年に62%を占めていたOECDの原油需要構成比は2011年には51%程度まで低下する見込みです。なお、日本における原子力利用率の低下による火力燃料需要の増加も低硫黄原油の需給に少なからぬ影響を及ぼしました。
地域別でみると、北米では、シェールガス、オイルサンドなど非在来型エネルギー資源の供給量が増加したため、エネルギー資源の需給が緩みやすい状況がみられました。これが、指標油種の一つだったWTI原油が独歩安となり指標性を失った原因の一つと考えられます。ただし、天然ガスやオイルサンドから生産されるビチューメンの価格が低迷した影響もあり、シェールガスおよびオイルサンドの生産能力が伸び悩むと予想されますので、来年は、景気がさらに落ち込まない限り、北米におけるエネルギー資源の需給は今年に比べると引き締まる見込みです。このため、WTI原油と他油種の価格差は縮小すると予想されます。
地政学リスクが顕在化した年でもありました。エジプトに端を発しリビアなどに拡大した政変によって、北アフリカおよび中東の産油国の一部で原油の生産・輸出量に影響及んだり、そのリスクが高まったりしたからです。
さらに、世界経済の低迷、EUの一部加盟国における財政の悪化などを背景に株式および債券の相場が低迷する中で、運用資金がだぶついた状態が続いたため、先物市場が発達している国際商品において「過剰流動性相場」が断続的に形成されたことも原油価格が高騰した理由の一つだったと考えられます。
また、原油の大半はドルベースで取り引きされているため、原油価格とドル為替レートとの間に相関性が働いていますので、米国経済の悪化を背景に年前半にドル安が進んだことも原油高を支える原因の一つになったと考えられます。
原油価格は来年も下がりにくい状況が続く見通し
これらの事情のうち、原油価格を引き下げる方向に転じる可能性があるのは、世界経済のさらなる悪化による需要の減退、日本の原子力利用率の回復、政変が終結したリビアなどにおける原油生産・輸出量の回復などに限定されます。
他方、もし、イランに対して再度発動された経済制裁が強化されて、ホルムズ湾の航行に支障が生じるような状況に陥ると、原油価格は一気に上昇し、史上最高値を更新する可能性もあるでしょう。
ただし、リーマンショックが起きる直前のような需給がひっ迫した状況が再現される可能性は低いので、高値を大幅に更新するには至らないと予想されます。
私は、来年の原油相場の中心レンジは、ドバイ原油ベースで100ドル〜120ドルと予想していますが、過剰流動性相場が続くため、このレンジを上回ったり、下回ったりする可能性も十分あると考えています。上述した諸事情を考慮すると、来年は原油価格が下振れするより上振れする可能性の方が高いと考えられます。
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