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課題が多い民主党のエネルギー・環境政策
民主党のマニフェストは、その中身が国民に十分に理解され、かつ、その政策が実行された際の影響などが議論され尽くされているとは思えません。少なくとも、私の専門分野のエネルギー、環境などに関わる政策には、議論すべき課題が多いように思われます。
例えば、石油産業に関わる政策として「自動車関連諸税の暫定税率廃止」、「高速道路の原則無料化」、「地球温暖化対策を強力に推進」などが掲げられていますが、暫定税率の廃止によって自動車の利用が促されることは、鉄道、船舶など、より環境特性に優れた公共交通機関の利用を阻害するので、環境負荷を重くするリスクがあり、環境政策と相反すると指摘されています。
燃費改善余地が大きい自動車
石油業界には、暫定税率の撤廃や欧即道路の無料化によって自動車の利用が促進されると、ガソリンの需要が増加するので、業界にとってプラスと考える方がいらっしゃるようです。短期的にはそのような効果が期待できる可能性がありますが、それは早計な判断でしょう。自動車の利用促進と環境対策を両立させるために、燃費の良い軽自動車や小型車、ハイブリッドカー、電気自動車などの普及を促して、自動車の燃費改善を図っていく方法が考えられるからです。もちろん、これはガソリン等の需要減少に直結します。
自動車の燃費は、ガソリンの国内消費量が増加し続けていた1980年代から2004年まで悪化し続けていました。自動車メーカーが収益を拡大するために、大きく、重く、高出力で燃費の悪いエンジンを搭載した自動車を拡販していたからです。
自動車の平均利用年数は現在11年程度です。11分の1ずつ入れ替わっていくと仮定すると、11年前に販売されていた自動車と今年販売されている自動車の平均燃費の差の11分の1ずつ、ガソリンの国内消費量は減少していく計算になります。平均燃費が30%改善すれば、その効果だけで、今後10年間にガソリンの国内需要は30%減少することになるのです。
温室効果ガスの削減は重要課題だが・・・
ところで、鳩山首相が、政権発足前に、事実上、世界に公約してしまう形となってしまった温室効果ガスの削減目標「1990年から2020年までに25%削減」は、欧州連合(EU)から賞賛され、国内でも環境や外交の関係者などから「日本が今後の環境関連の国際交渉においてリーダーシップを発揮できる」、「環境関連ビジネスチャンスを拡大できる」などと高く評価されていましたが、有識者や産業界などから、達成が不可能な目標であり、日本経済に悪影響を及ぼすとの懸念が示されています。確かに、旧政権下の6月に閣議決定された「2020年までに2005年比で15%削減」の目標ですら、達成のために多大な努力とコストを要すると評されていましたので、懸念が出て当然と思われます。ちなみに、日本の温室効果ガス排出量は1990年から2005年にかけて約8%増加していますので、「1990年から2020年までに25%削減」は2005年比では30%余り削減ということになります。
温室効果ガスの排出量を削減していくことは、地球環境を保全するため、世界が一致団結して取組んでいかなくてはいけないきわめて重要な課題です。したがって、国民の意識を高めるためにも、技術革新やエネルギーの需給構造の転換を促すような高い目標を設定して、その達成に尽力することが必要と思われます。ただし、目標達成に要する期間やその影響などについては、各方面の有識者と現実的な議論を重ねたうえで判断すべきだったように思われます。国際交渉は戦いの場です。戦いに望む前に、手の内を見せてしまう、しかも、相手方に賞賛されるような答えを示してしまうのは、戦う前に負けているのと同じことのように思われます。
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