UBS証券会社 伊藤 敏憲


JXに問われるリーディングカンパニーとしての真価の発揮

複合企業体がスタート

 新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合によって今年4月に誕生したJXホールディングスが、石油精製販売事業会社「JX日鉱日石エネルギー」(新日本石油、新日本石油精製、ジャパンエナジーが合併)、石油開発事業会社「JX日鉱日石開発」(新日本石油開発とジャパンエネジー石油開発が合併)、金属事業会社「JX日鉱日石金属」(新日鉱ホールディングスの金属事業を統合)を7月に設立し、事業部門ごとに経営を集約したグループ経営体制に移行しました。これにより、JXグループは、エネルギー、資源および金属事業を展開する世界で他に類を見ない複合企業体(コングロマリット)になりましたが、すでに、銅製錬や電子材料など金属関連事業の多くは世界トップクラスの競争力を備えています。今後、石油精製・販売事業において設備集約などによるシナジー効果・コスト削減などを追求し、資源開発事業を拡充するとともに、経営資源の選択と集中を的確に実施できれば、収益力は一段と強化されるものと考えられます。


シナジー効果は年800億

 JXグループは、経営統合によるシナジー効果を13年3月末までに年八百億円以上(当初予定から年額二百億円上乗せ)、製油所合理化による収益改善効果二百九十億円を達成し、さらに15年3月末までにシナジー効果を二百億円追加達成すると説明しています。そして、経営統合後にスタートした3ヵ年の中期経営計画の最終年度となる12年度に在庫評価影響除きで三千三百億円の経常利益を達成することを目標に掲げています。この目標が達成できるかどうかは、石油精製・販売事業の収益環境を底上げできるかどうかによると考えられます。

 JXは、石油精製・販売事業の収益改善策の一つとして、国内向け精製能力を、合併に基本合意した08年12月の合計能力日量189万バレルを基準に、11年3月末までに40万バレル削減し、さらに、遅くとも13年3月末までに、コスト削減効果が大きい製油所単位での設備廃棄により約20万バレルの追加削減を実施する計画です。

 他元売の経営姿勢にも明らかな変化が見られ、昭和シェル石油が11年9月に扇町工場を閉鎖することで12万バレル、出光興産が製油所の閉鎖によって13年3月末までに約10万バレルの能力削減を実施することを発表しており、コスモ石油も設備処理の実施を検討すると表明しています。これらの対策によって、石油製品の国内需要が年率2〜3%のペースで減少し、輸出が拡大できなかったとしても、3年後には過剰能力がほぼ消失し需給を引き締めやすくなり、石油精製事業の収益環境は向上すると予想されます。


11年3月末まで40万バレル削減

 なお、JXグループの経営陣は、60万バレルの能力削減を実施した後にも必要に応じて精製設備の再編・集約を進めるとともに、存続させる製油所には十分な投資を行って国際競争力のある供給体制を構築すると説明しています。同社の取り組み姿勢は真摯で、石油精製および基礎化学品事業の技術力が高いことも考慮すると、この目標は十分達成可能と思われます。

 あとはSS業界において、無益な過当競争を排除して、健全な収益を確保できるようになるかどうかが石油精製・販売業界全体の収益力を向上できるかどうかのポイントとなります。これも国内出荷シェアで約35%を握り、国内最大の直営SSネットワークを展開することになるJXがリーディングカンパニーとしての真価を発揮できるかどうかによると考えられます。



 

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