月と100円玉

 残業の晩飯を買いに、会社近くのコンビニまで戦友と歩いた。在り付いたパンをガブついていると、「さっきの月見た」と訪ねられ「全く」と小生。気の小ささゆえにうつむいて歩くのがクセになっているのだが、「小銭落ちているか気になって下ばっかり見てるんでしょ」とちゃかされた

 確かに子供の頃は下校途中、100円玉が落ちてないか―と、地面を気にしながら歩いたものだ。というよりも、目線が低かったため地面がよく見えた。でも、大人になり目線が高くなったからといって、空がいつも視界に入ってくる訳ではないし、見上げることもめっきり少ない。やはり、意識の問題なのだろう

 戦友いわく、その日の月はオレンジ色をしていて、下の部分が少し窪んでいたとか。一方、空の月も地面の小銭も逃した小生は、代わりに「童心」を思い出すことができた

 油外で成功しているSSを取材する際、よくマネージャーから「当たり前のことをやっているだけ」とか「基本の徹底」といったコメントを頂く。業界にどっぷり浸かると、時に慣れや経験が邪魔をし、お客さん目線を忘れたりする。夜空を見上げたり地面を眺めたり、当たり前のことができなくなるのが大人なら、「業界人=大人」という方式も当てはまるだろう

 童心を忘れない業界人になるのはホント難しい。敏腕マネージャーの言葉の深さを、改めて実感させられる。ノルマで壁にぶち当たったスタッフには、是非とも空や地面を眺めることをお勧めしたい。

 (茶)

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